岡山県立新見高等学校 ×辞書アプリDONGRI

岡山県立新見高等学校は、普通科、生物生産科、工業技術科、総合ビジネス科と幅広い学科が設置されており、学校ホームページにある「新しい自分を見つける場所」を体現している。新見高等学校では、2023年度のDONGRIの月間利用率が毎月90%以上と、高頻度で辞書を活用する学習習慣が定着していた。「ことばを大切にし、小さな問いを、確かな情報源で解決しようとする姿勢」を称え、EAST EDUCATIONから「DONGRI AWARD ※」を贈呈した。導入時から継続して、生徒の辞書活用が定着したことの秘訣を、国語科の土井康司先生、英語科の楠戸一郎先生から聞いた。
※DONGRI AWARDの特設ページはこちら

DONGRIの利用開始時の様子

 新見高等学校では、教員と生徒1人につき1台iPadが導入されている。 DONGRIは、1人1台端末環境が整った2021年度から導入を開始し、今年で導入3年目となる。「一冊一冊紙の辞書を購入するとなると、ご家庭への負担が大きくなります。複数の辞書をリーズナブルに導入できる方法を考え、紙の時代から使っていた辞書がラインナップされているDONGRIの導入を決めました」と国語科の土井先生は話す。新見高等学校では、大修館書店の英語科・国語科の辞書が揃う「ジーニアス5辞書セット」を採用している。
 土井先生は、当初紙の辞書を使い続けたいという思いもあったそうだが、実際にDONGRIを使い始めると、予想よりも違和感なく利用を始められたそうだ。生徒には、国語科・英語科のガイダンスで、iPadを教室のスクリーンに映し、検索の流れを指導。生徒達は日頃から端末の操作に慣れていることもあり、スムーズに利用を始められたという。

ことばの意味を推測し、確かな意味を捉える

 「現代の国語」で土井先生は、DONGRIは語句の意味を「確かめる」ツールとして用い、調べる前の意味を推測する時間を大事にしているそうだ。「文章の中で生徒がピンときていない単語があれば、一度生徒に考えさせてからDONGRIを使うようにしています。調べればすぐに答えは出てくるのですが、一度語句を推測させてから調べることで、確かな語彙力が身についていくと考えます」と話す。
 また、ただ語句の意味を問うのではなく、「別の語句に言い換えられるか」を口癖のように問いかけているそうだ。「ことばを言い換えられないということは、曖昧に捉えている可能性が高いです。一見難しくない言葉でも、問題を解くうえでおさえておくべき言葉や、言い換えが求められるものは、必ず辞書で意味を確認するようにしています」と話す。

土井康司先生

土井康司先生

 土井先生は、ことばの意味を捉える重要性について「記述式問題」を例に挙げた。
「文章で答えを書きあげなければいけない時、問われている語句の辞書的意味の記述が、解答へのヒントになることもあります。語句の辞書的意味を掴むことは、読解を進めるうえでも、設問への解答を作成するうえでも不可欠と考えています」と話す。

国語も英語も「言い換え」が重要

 英語科の楠戸先生も、土井先生の「言い換え」の話に何度も頷いていた。「英語でも言い換え表現は掴むべきですね。1つの単語に対して複数の意味で捉えることが重要です。DONGRIでは関連語にジャンプできるリンクが付いているので、対義語・関連語を必ず見るように伝えています」と話す。

appearのページにある「類語比較 seem」のリンクを押すと、seemのページが開く

appearのページにある「類語比較 seem」のリンクを押すと、seemのページが開く

 また、英単語の意味を吟味する際は、1つの語義以外の意味やフレーズにも目を通して、適切な意味を選ぶよう声をかけているそうだ。「英語が苦手な子は、なかなか適切な意味を選ぶのが難しく、1番上に書いてある意味を書いてくる子もいます。2年生、3年生と進むにつれて、徐々にできるようになっていけば、確実な英語力が身についていくはずです」と、今後の成長を期待していた。

 楠戸先生はその他に、DONGRIの「発音再生」を活用しているという。「ジーニアス英和辞典では、過去形・過去分詞形など変化形の発音も聞けるのでとても便利」と話した。単語を調べたときは、しっかり音もあわせて聴くように伝えているそうだ。

発音再生

 DONGRI AWARDの受賞について聞いたところ、楠戸先生は「特別なことは特にしていませんが、授業中にDONGRIで調べようと声をかけるとすぐに行動に移すように、一生懸命学習に取り組んでいる生徒が多いです」と話した。
土井先生は、「『分からないことがあったら、ドンドングリグリ調べよう』と声をかけることもあります。皆が主体的に、自主的に学習を進めてくれた結果が表彰されたという形で報告しました。生徒の皆も喜んでいました」と生徒との様子を笑顔で話してくれた。

辞書は「基礎を固めるもの」

 先生方にとって、辞書は「基礎を固めるもの」と意見が共通していた。
 土井先生は、「ネットにもちゃんとした情報はありますが、中には信憑性が怪しいものもあります。正しいものを判断する力を養うのもあわせて重要ですが、学習の基礎として『辞書』は使わせていきたいです。そのうえで、色んな情報の荒波を乗り越えていく力を身につけていってほしいと思います」と話す。
 楠戸先生は、「辞書という確実な教材で培った単語力は、今後も変わることのない確固とした知識になると思います。調べるツールは1つに絞る必要はありません。辞書で基礎を固めながら、追加の情報を調べたり、理解を深めたりするうえで、ネットの情報もあわせて活用していけたらと思います」と話す。

 土井先生は、紙の辞書と辞書アプリそれぞれに長所があると感じているという。「紙辞書には、言葉との思いがけない出会いがあったり、辞書を引く経験を通してことばが記憶できたりすると思います。一方で、アプリは言葉を調べるスピードが圧倒的に速く、効率の良さは抜群です。両者の良さに葛藤することもありますが、生徒には紙の辞書も読んでほしいと思いますし、DONGRIもまたたくさん活用していってほしい」と、アナログとデジタルの両者とも上手に付き合っていきたいと語った。授業においても、漢字テストは紙に書く形式をとる一方で、古文単語のテストでは、教材から提供されているデータを使用し、Googleフォームを活用して効率よく出題するなどしているそうだ。

 楠戸先生も、デジタルの良さを活用しつつ、教科の指導について次のように語った。

今後は端末で何でもできる時代に近づいていると思うので、自分も活用したいと思っている。ただ、端末は一つのツールであり、英語を教えるというのが第一です。デジタルに頼った結果、デジタルがなければ何もできなくなる、という状態は避けたいです。便利なツールをどう組み込んで使っていくか、と考えていきたいです

 生徒が自主性・主体性をもって学習に励む新見高等学校。今後もDONGRIを大いに活用し、今後変わることのない確固とした言葉の「基礎」を固めていってほしい。

インタビューを終えて

「分からなければDONGRIで調べる」習慣が浸透していた新見高校ですが、すぐに答えを見るのではなく、調べる前に語句の意味を推測することが重要だという先生のお話が印象的でした。ことばと向き合う経験を通して、確かな語彙力が身についていくのだと感じました。
今後もことばの基礎を培うものとして、DONGRIを活用し続けてほしいと思います。土井先生、楠戸先生、ありがとうございました!

教育コンテンツ事業部 佐藤和奏

教育コンテンツ事業部 佐藤和奏

岡山県立新見高等学校

導入時期2021年

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〒718-0011 岡山県新見市新見1394
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