茨城県立伊奈高等学校は、2025年9月から音読アプリQulmeeのトライアルを開始した。
利用開始当初から、Qulmeeの新機能「AI文法チェック」を、利用校の中でも特に多く活用している。今回1年生では校外学習で留学生と浅草を散策した経験について、2年生では修学旅行での沖縄訪問についてプレゼンテーションの授業を行うと伺い、授業を見学させていただいた。
AI文法チェックの機能と効果
2025年9月に新機能として追加されたAI文法チェックは、生徒が作成したライティング原稿を、文法・スペル・語彙選択の視点で、AIが修正のヒントと修正案を提示する機能だ。本機能とともに搭載された辞書機能(英和辞典)は、英文作成に役立つのはもちろん、AIからの指摘に疑問を感じた時にも活用できる。完成した原稿でモデル音声を再生~音読練習~AI発音判定も可能なため、スピーチやプレゼンテーションの準備にも最適だ。

リリース直後から、Qulmeeを活用する学校の中でも、茨城県立伊奈高等学校は特に頻度高くAI文法チェックの機能を利用している学校だ。その効果をどのように感じているか、英語科の飯田先生と奥山先生に伺った。
教員側の変化としては、ライティング指導は添削の負担が大きいですが、基本的な文法事項はQulmeeのAI文法チェックにお任せできるため、添削の負担を軽減した分、他の作業に時間をさけるようになりました。
これまでは、教員が大変な思いをして添削しても、生徒は答えを見て終わりにしてしまうことがありました。Qulmeeでは、初めに答えではなくヒントが表示されるため、三単現のsの欠落や時制について、生徒自身が考えて修正できるようになったことが大きな変化です。
今回のプレゼンは、校外学習/修学旅行の班でグループを組んだ。プレゼンの構成を計画した後、まずは各自で学びや思い出を原稿にまとめ、それをグループでつなぎ合わせて1つのプレゼンを作り上げる流れである。1・2学年とも以下の大くくりな学習過程は共通していた。
①では、生徒がワークシートに伝えたい思いを既習の構文や単語で書き表していく。次に、書いた英文をタイピングしたり、カメラで読み取ったりして、生徒はQulmeeのAI文法チェックで英文の完成度を高めていく。小学校時代から学校用端末を活用してきた生徒は、操作もお手の物といった印象だ。
Qulmeeとライティング
生徒が自力で書き上げたライティングは、その内容がとても個性的で、伝えたい気持ちに溢れていた。
1年生|留学生との浅草散策に関するグループ発表の一部
一方で、修正が必要な箇所もそれぞれだ。三単現のsの欠落や時制の一致といった内容をはじめ、「suggestの後ろに続くthat節では動詞は原型を用いる」といった文法事項まで、生徒はAIの指摘をもとに、自身の英文をより確かなものに磨いていく。
2年生|修学旅行に関する原稿のAI文法チェックの活用例
伝え方が思いつかないとき、多くの生徒がQulmeeと併用する辞書アプリDONGRIの和英辞典を引いて調べていた。ある1年生の生徒は、Web検索ではなく辞書を使用する理由として「単語の意味はWebで分かるけれど、単語の使い方は辞書の例文検索の方がよくわかる」と話してくれた。例文検索から単語の使われ方を確認し、それを模倣して英文を書き進める姿がしっかり身に付いているようだ。
また、ある2年生の生徒は、以下のAIの修正に疑問をもち、その違いを辞書で調べた。
The volunteers clean there , so the sea in Naha is so beautiful.
AIのヒント:clean より clean up の方が自然です。
cleanより、clean upのイディオムで表現した方が、「ボランティアが[すっかりきれいに]掃除するから、那覇の海はとてもきれいだ」と意味が強調されることに気づいて、自身の英文に反映していた。
AIの提案をただ受動的に反映することは簡単だが、辞書というアイテムを用いながら、生徒が主体的に判断して英文を書きあげる姿にはとても感心した。先生のいう、「AIの添削をきっかけに、生徒が考えながら修正できるメリット」を垣間見ることができた。
1年生のプレゼン発表を見学すると、初めての英語での発表に緊張した様子はありつつも、浅草の散策をともにした留学生の紹介に関する発表内容は単語数も多くて内容が詳しく充実していた。飯田先生は、「担当する200名近くのライティング全てを添削するのはとても大変ですが、AI文法チェックである程度確かな英文に校正されているので、負担なくプレゼンの発表を迎えることができました」と話してくれた。
Qulmeeとスピーチ
2年生の発表では、原稿を一人一人がしっかりと暗唱し、自然な英語のリズムでスピーチする姿が見られた。発表を終えた生徒にQulmeeの活用法や音読の効果を聞くと、次のように答えてくれた。

先生だけでなく、生徒も英文を自由に登録できるのは、Qulmeeならではの機能だ。授業での発表を控えた休み時間の教室では、Qulmeeで英文のモデル音声を再生したり、暗唱の確認をしたりする姿が多く見られた。落ち着いた様子で平然と発表していたように見えたが、それは繰り返しの練習の成果であると感じた。
授業の中で奥山先生は、音読課題を提出した後も、先生から評価が返却されたら発音をより良くできる箇所や改善方法を確認しておくことを促していた。Qulmeeの評価後の画面では、AI発音チェックの判定結果に応じた自動評価コメントや発音の改善方法を確認することができる。

発音の誤りを確認するだけではなく、その改善方法を意識したり似た音素をもつ単語を聞き比べたりしながら、努力家の多い同校の生徒には、より高い英語力と自信を身に付けてほしいと思う。
英語科の飯田先生は、Qulmee活用の効果と今後の期待を、次のように話してくれた。
英語で作文が苦手な生徒が、DONGRI辞書やQulmeeを使い、自分で表現できるようになってきました。また、英検の英作文や2次の音読のパートで、自ら進んで活用している生徒も出てきています。今年の実践を踏まえて、3年間見通した活用方法も考えていきたいです。