【辞書コラム㉙】辞書の使い方

夏休み特別編:DONGRIを使って「英語の自由研究」に挑戦してみよう

サムネイル:夏休み特別編:DONGRIを使って「英語の自由研究」に挑戦してみよう

夏休みの宿題として自由研究が出されている人もいると思います。自由研究というと、化学の実験や動植物の観察、天体観測といった理系分野の内容を思い浮かべるかもしれませんが、英語に興味のある人は、DONGRIを使った「英語の自由研究」に挑戦してみてはいかがでしょうか? 今回は、ふだんの授業の予復習や受験勉強とは気分を変えて、DONGRIで辞書を引きながら、ユニークな自由研究を仕上げるためのヒントをお話ししたいと思います。

「終わることば」の検索を使ってアメリカ50州の愛称を調べてみよう

19回目20回目のコラムでも紹介しましたが、紙の辞書でまねできないDONGRIならではの特徴の一つとして、単語の末尾から引けるということがあります。たとえば、教科書や入試問題でwaterproof(水を通さない、防水性の)という語が出てきたら、proofで「終わることば」を検索してみると、soundproof(防音の)、fireproof(耐火性の)といった関連のある語をまとめて覚えることができます。

今回の自由研究では、日常的な単語学習から少し脱線して、アメリカ合衆国の州についてDONGRIで調べてみましょう。『ジーニアス英和辞典』、『コンパスローズ英和辞典』を使っている人は、stateで終わることばを調べてみてください。

G6でstateを引く

CRでstateを引く

Aloha State(ハワイ州の愛称)、 Badger State(アリゾナ州の愛称)のように、アメリカ合衆国50州の愛称をいっぺんに調べることができます。日本でも、「うどん県」(香川県の愛称)のように地元の観光協会が独自の愛称をPRしている場合もありますが、アメリカでは50州のすべてに公式の愛称が決められていて、州の名前に加え、愛称も載せている辞書があります。それぞれの愛称がどの州なのかをDONGRIで調べ、50州の位置や州都、愛称の由来などをまとめてみてはいかがでしょうか。日本人の小学生が、日本の全都道府県を社会科の授業で学ぶように、アメリカ人の小中学生は、地理やアメリカ史の時間にアメリカ50州について学びますが、愛称まで知っている人はあまりいません。気候や文化が州ごとに大きく違うアメリカ合衆国の多様性が、様々な愛称からも垣間見ることができると思います。

『ジーニアス英和辞典』や『コンパスローズ英和辞典』以外の辞書では州の愛称は載っていませんが、高校生向けの辞書であれば、州の名前は出ています。地理の時間で使う地図帳などを見れば50州の名前と位置がわかりますので、地図帳で調べた州の名前をDONGRIの辞書で検索すれば、州都や人口などの情報を調べることができます。

なお、『ベーシックジーニアス英和辞典』を使っている人は、「地図索引」を使えば、アメリカの州の名前や州都だけでなく、全世界の国の名前と首都を簡単に調べることができます。

「索引」をタップして「地図索引」からCOUNTRIES OF THE WORLDを選ぶと世界地図が出ますので、North Americaを選んで地域をタップすれば、それぞれの州の位置と州都が表示されます。単語をタップすれば辞書にジャンプして発音や詳しい情報がわかるのは、ネット検索にないDONGRIならではの特徴です。

地図索引でMidwestern United Statesを引く

この地図を見てもわかるように、アメリカでは行政の中心となる州都と、生活や商業の中心となる都市が別々になっていることもあり、人口が多い大都市が州都であるとは限りません。たとえば、イリノイ州にあるシカゴ、カリフォルニア州のサンフランシスコやロサンゼルス、ニューヨーク州のニューヨーク、ミシガン州のデトロイト、ワシントン州のシアトルなどは、いずれも成田空港から直行便で行ける大都市であり、皆さんも名前をきいたことがあると思いますが、いずれも州都ではありませんね。このように、DONGRIを使うことで自由研究の基本となる「調べる」ことが効率よく行えるので、英語だけでなく、地歴や公民などの他教科と組み合わせた研究に発展させることもできます。

ほかにも、fishで「終わることば」検索をすれば様々な種類の魚が一覧できるので、海水浴や釣りに行ったときに見かけた魚を英語では何と言うかを調べ、写真とともにまとめるなど、「終わることば」検索はアイディア次第で様々な自由研究に使うことができます。

ピクチャーディクショナリーを活用して自分だけの英単語帳を作ってみよう

英語の授業の予復習や受験勉強では、教科書や入試問題に出てきた単語を調べることが単語学習の中心になりますので、苦痛に感じる皆さんも多いと思います。 自由研究としては、皆さんの趣味や部活動など、興味のあることに関する単語をまとめることで、英単語を増やすことの楽しさを体験してみてはいかがでしょうか?

DONGRIに収録されている辞書の中には、『ジーニアス英和辞典』『エースクラウン英和辞典』『ベーシックジーニアス英和辞典』『コンパスローズ英和辞典』など、ピクチャーディクショナリー(絵辞典)や挿絵を収録しているものもあります。たとえば、運動部の皆さんで『ベーシックジーニアス英和辞典』を使っている人は、「索引」→「ピクチャーディクショナリー」をタップして、”What sport do you like best?”を見てみましょう。オリンピックとパラリンピックの全種目の一覧を見ることができます(綴りをタップすれば発音を聴くこともできます)。 体育の先生でも、オリンピックとパラリンピックの種目を英語で何と言うか、すべて知っている人はあまりいないのではないでしょうか。それぞれの種目について、ルールや日本人のメダリストの数などを英語で簡単にまとめれば、来年夏にパリで開かれるオリンピック、パラリンピックの「予習」をすることもできますね。

BG2のピクチャーインディクショナリー

なお、ピクチャーディクショナリーの内容は、同じテーマでも辞書によって扱い方が様々です。たとえば、『ベーシックジーニアス英和辞典』では陸上競技や水泳、体操などの個々の競技名は出ていませんが、『ジーニアス英和辞典』のイラスト索引で「スポーツ」を選ぶと、細かな名前まで調べられます。

G6のイラスト索引_体操

辞書によっては、ピクチャーディクショナリーに単語を載せるだけでなく、英語を話すときにも役立つフレーズや文単位で載せているものもあります。たとえば、『エースクラウン英和辞典』で「スポーツ」を選ぶと野球やサッカー、バスケットボールの実況中継をするときに使える英語表現をまとめて調べることもできます。

AC3のピクチャーページ

『ジーニアス英和辞典』のイラスト索引で「その他」→「ジェスチャー(1-3)」をタップすれば、ストレッチや体操をするときにそのまま使える表現が豊富に見つかります。ここに出ている表現を組み合わせて、準備体操やストレッチのメニューを英語で作り、夏休みの部活動で英語を使って号令をかけてみるのもおもしろいですね。

G6のイラスト索引_ジェスチャー

もちろん、運動部以外の人でもピクチャーディクショナリーを使えば自由研究のテーマに事欠きません。とくに、『ジーニアス英和辞典』のイラスト索引はテーマが非常に多いので、興味のあるテーマを選んでそこに出てくる単語を調べてみてはいかがでしょうか。吹奏楽部の人は楽器の名前、英語よりも数学が好きな人は図形の名前、将来の進路に迷っている人は職業の種類などがおすすめです。

英語らしい自由研究にするために

DONGRIに収録されている辞書のピクチャーディクショナリーの多くは、肉声音声へのリンクがついていますので、単語をクリックすると発音を聴くことができます。ただ単語を調べるだけでなく、声に出して発音してみたり、自分の発音を音声ファイルにして自由研究の内容と一緒に提出すれば、「英語の自由研究」にふさわしい内容になるのではないでしょうか。

とくに将来英語を専門とする学科をめざす皆さんは、ピクチャーディクショナリーに出てきた単語の意味を調べるだけでなく、その単語を英語で説明してみるのも勉強になります。たとえば、トランペット(trumpet)なら、”A trumpet is a musical instrument. It is made of brass and has three keys.”(トランペットは真鍮製の楽器で、キーが3つあります)のように説明することができます。

何も見ないで英語で説明するのは、英語がかなり得意な高校生の皆さんでも難しいと思います。余裕がある人は、DONGRIに収録されているCollins COBUILD Learner’s American English Dictionaryのような英英辞典をぜひ追加で購入してみてください。英英辞典を使うことで、とくに英語が得意な皆さんは大学生になって英語を専門に学ぶ際にも役立つ力をつけることができます。※ 英英辞典については次回のコラムで詳しくお話しする予定です。

コウビルド英英辞典でtrumpetを引く

DONGRIを使った「英語の自由研究」は何かを育てたり、実験したりという定番の自由研究と違い、時間やお金がかかりません。他の同級生はひと味違った自由研究を通して、英語を学ぶ楽しさを実感してください。

この記事の執筆者

関山健治(せきやま けんじ)先生写真

中部大学 准教授

関山健治先生

沖縄大学専任講師、准教授を経て、2014年から中部大学准教授。専門は英語辞書学・応用言語学。

著書に『辞書からはじめる英語学習』(2007年、小学館)、『英語のしくみ』(2009年、白水社)、『日本語から考える!英語の表現』(共著、2011年、白水社)、『英語辞書マイスターへの道』(2017年、ひつじ書房)などがある。

執筆・校閲者として『ウィズダム英和辞典(第3版)』(三省堂)、『プログレッシブ英和中辞典(第5版)』(小学館)、編集委員として『ベーシックジーニアス英和辞典(第2版)』などを担当。

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