【辞書コラム㉖】辞書の使い方

新年度特集!DONGRIで使える英語辞書の紹介と「2冊目の辞書」のすすめ

#初級

サムネイル画像:新年度特集!DONGRIで使える英語辞書の紹介と「2冊目の辞書」のすすめ

新学期が始まりました。皆さんの中には、高校に入学、進級し、タブレットやスマートフォンを使ってDONGRIの辞書を使い始めた人もいるのではないでしょうか。

今回は、新年度特集として、DONGRIで使うことのできる高校生向けの英和辞典をすべて紹介したいと思います。今使っている辞書に意外な情報が載っていることを知ったり、気に入った辞書を追加購入することで、自分だけの辞書環境を作るためのきっかけになれば幸いです。

レベルや目的に合わせて辞書を選ぼう

英和辞典は、小学生向けから専門家向けまで、様々なレベルのものがあります。 このチャートは、DONGRIで使うことができる英和辞典(2023年4月現在)をレベル別、目的別にまとめたものです。皆さんが使っている辞書がどのような位置づけのものか、確認してみてください。

辞書チャート

高校生の皆さんは、赤色の点線で囲まれている辞書のどれかを高校が一括導入し、ふだんの授業などで使っていると思います。これらはすべて高校生向けの英和辞典ですので、英語が苦手な高校生の日常学習から、大学入学共通テストをはじめとした一般的なレベルの大学入試まで、1冊で幅広く対応しています。

今使っている辞書にもう1冊追加してみよう

皆さんの中には、今使っている英和辞典が難しく感じたり、逆にもっと詳しい辞書を使ってみたいと思う人もいるかもしれません。そのような方は、易しめの辞書(今使っている英和辞典よりも一つ下のレベルの辞書)や、難しめの辞書(今使っている英和辞典よりも一つ上のレベルの辞書)を追加で購入してみてはいかがでしょうか?

DONGRIでは、英和辞典だけでも10種類以上の辞書を単品で追加することができます。3年間のライセンスを選べば、高校在学中は追加料金は一切かかりませんし、電子辞書専用機と違い、スマホやタブレットを機種変更したり、紛失しても、購入した辞書はそのまま使い続けることができます。
※詳細はこちらをご覧ください。

以下に、DONGRIにラインナップされている高校生向け辞書の特徴を、それぞれの辞書ならではのコラムや付録の内容を中心に、順不同でお話しします。

英語が苦手な高校生にぴったりの辞書:高校初級レベル英和辞典

高校初級レベルの英和辞典は、DONGRIでは『エースクラウン英和辞典』、『ベーシックジーニアス英和辞典』を使うことができます。いずれも、英語母語話者の肉声音声を聴くことができるだけでなく、カナ発音が載っているので、授業で教科書を音読するときなどに「単語が読めない」という不安を解消することができます。初級レベルとはいえ、大学入学共通テストを含め、一般的なレベルの大学入試や、英検なら2級レベルまで余裕で対応しますので、英語が苦手な皆さんが高校3年間通して使うことができる辞書です。また、中級や上級レベルの英和辞典を使っていて難しく感じる人の「2冊目の辞書」としても最適です。

『エースクラウン英和辞典』は、英文法が苦手な高校生向けに易しく解説した「基礎文法」がおすすめです。中学で学んだ文法事項を中心とした基礎編と、高校の授業や入試にも対応できる応用編に分かれていて、丁寧に解説しています。

エースクラウン英和辞典の「基礎文法」の目次

エースクラウン英和辞典の「基礎文法」の項目例

『ベーシックジーニアス英和辞典』は、私も編集に携わった辞書ですが、辞書の引き方と基本的な英文法の解説をリンクさせた「英語の入り口」のコラムがあります。単語の見つけ方から始め、辞書の読み方、英文の作り方など、練習問題を解きながら段階を追って解説しています。

ベーシックジーニアス英和辞典の「英語の入り口」

高校の授業と大学入試への橋渡しをする辞書:高校中級レベル英和辞典

高校中級レベルの英和辞典は、『コアレックス英和辞典』と今年3月にDONGRIのラインナップに加わった『グランドセンチュリー英和辞典』があります。高校1年生の授業の予復習から、難関大学の入試まで幅広く対応する辞書です。単語の意味や文法的な説明に加え、文化的な情報や単語の使い分けなど、高校生の英語学習に特化した様々な情報がコラムとして収録されていることが特徴です。

高校初級向けや上級向けの辞書にない情報も多く、大学1、2年生の英語の授業にも対応しますので、英語に関心のある高校生の「ふだん使いの辞書」としてもおすすめします。

『コアレックス英和辞典』第22回目のコラムでも詳しく説明していますが、高校生から英語教員まで、様々なレベルの人に対応した豊富なコラムが特徴です。とくに、「ライティングのヘルプデスク」は類書にもあまりないもので、まとまった英文を書くための方法が説明されています。スピーチコンテストの原稿を書く際や、自由英作文が出題される資格試験や入試を受験するときに役立ちます。

コアレックス英和辞典の「ライティングのヘルプデスク」

『グランドセンチュリー英和辞典』は、豊富な文化情報を収録していることが大きな特徴です。たとえば、baseballを引くと、野球用語やTake Me Out To The Ball Game(私を野球に連れてって)の歌詞など、訳語や用例以上のスペースを割いて説明しています。clubを引けば部活動の英語名称がまとめて出ていますので、自己紹介をするときなどにも便利です。

グランドセンチュリー英和辞典のコラム索引「言語文化」

英語が得意な学生のステップアップに最適な辞書:高校上級レベル英和辞典

DONGRIのラインナップでもっとも充実しているのがこのタイプの辞書で、『コンパスローズ英和辞典』、『ジーニアス英和辞典』、『ウィズダム英和辞典』、『オーレックス英和辞典』があります。大学入試は言うまでもなく、社会人になってから英語を仕事で使う際にも使える辞書です。多くの高校ではこのタイプの辞書を一括導入していますので、皆さんの中にもすでに使っている人も多いと思います。英語学の研究成果を踏まえた詳しい内容が特徴ですが、英語が苦手な人にとっては難しすぎると感じるかもしれません。そのような方は、高校初級レベルや中級レベルの英和辞典と併用することをおすすめします。一方、英語が得意な皆さんは、このタイプの別の辞書をもう1冊購入し、「セカンドオピニオン」を求めるようにすると、英語を深く理解でき、より英語に興味が持てるようになると思います。

『コンパスローズ英和辞典』は、語のイメージ図と意味の変化を示した表が大きな特徴です。たとえば、betweenとamongの違いのように、ことばで説明しにくい語でも図を見ればよく分かります。

betweenの説明

amongの説明

また、interestは、「興味」と「利息」という意味がありますが、語彙をマッピングした表を見ると、それぞれが関係した意味を持っていることが分かります。

interestの語彙マッピング

『ジーニアス英和辞典』はDONGRIで使える辞書の中でもっとも新しい辞書で、第21回目のコラムで詳しく紹介しました。英語の専門家でも役立つ詳しい情報に加え、大学入試レベルの単語を効率よく覚えられるように工夫した「語のしくみ」や、歴史的な観点から英語に興味を持つことができる「英語史Q&A」など、高校生にとっても役立つコラムを満載しています。

ジーニアス英和辞典の「語のしくみ」

ジーニアス英和辞典の「英語史Q&A」

『ウィズダム英和辞典』は、コーパスという実際の英語を集めたデータベースを使った客観的なコラムを載せていることが大きな特徴です。たとえば、badの「コーパスの窓」を見ると、日本人がよく使うbadを別の語で言いかえる例が示されていますので、より自然な英語を書くときに役立ちます。

ウィズダム英和辞典のbadの「コーパスの窓」

『オーレックス英和辞典』は、英語を使うときに役立つ情報やコラムを多く収録しています。たとえば、日本人はinterestingを「おもしろい、興味深い」という意味でほめ言葉として使うことがよくありますが、英語母語話者はマイナスのニュアンスで使うことがあるといった情報は類書にもあまり見られません。一方で、難関大学の入試で見られる抽象的な英文に出てくる語を扱ったBoost Your Brain!というコラムのように、大学受験に直結した内容も多く盛り込まれています。

オーレックス英和辞典のinterestingの語用論注記

オーレックス英和辞典のコラム

辞書を追加して、自分のレベルにあった環境で英語を学ぼう

電子辞書がなかった昭和の頃は、1冊の辞書をボロボロになるまで使うことが「美徳」とされてきました。平成になって、電子辞書専用機が普及すると複数の辞書を引くことができるようになりましたが、追加できる辞書の種類が限られ、割高なので、内蔵辞書以外に辞書を追加することは敷居が高いと感じる人も多いようです。

一方、DONGRIでは冊子辞書よりも手頃な価格で1冊単位で辞書を追加することができますので、今回紹介できなかった小学生向け、中学生向けの辞書を含めれば、小学生から社会人まで同じプラットフォームで辞書を使い続けることができます。学校で一括導入した辞書だけでなく、より皆さんのレベルにあった辞書を追加購入し、引き比べることで「辞書を引けば英語が分かる」という安心感と自信が持てるようになることでしょう。DONGRIを身体の一部のように使いこなすことで、充実した高校生活を送ってください。

この記事の執筆者

関山健治(せきやま けんじ)先生写真

中部大学 准教授

関山健治先生

沖縄大学専任講師、准教授を経て、2014年から中部大学准教授。専門は英語辞書学・応用言語学。

著書に『辞書からはじめる英語学習』(2007年、小学館)、『英語のしくみ』(2009年、白水社)、『日本語から考える!英語の表現』(共著、2011年、白水社)、『英語辞書マイスターへの道』(2017年、ひつじ書房)などがある。

執筆・校閲者として『ウィズダム英和辞典(第3版)』(三省堂)、『プログレッシブ英和中辞典(第5版)』(小学館)、編集委員として『ベーシックジーニアス英和辞典(第2版)』などを担当。

辞書アプリDONGRI
音読トレーナーQulmee

keyboard_arrow_left記事一覧へ戻る