【辞書コラム①】重要語の見極めが肝心!

覚えた方がよい単語かどうかを見極める「重要度表記」

#初級

イメージ画像

高校新入生の皆さんの中には、DONGRIが初めての電子辞書という人も多いと思います。電子辞書は、簡単に知らない単語の意味を調べることができるため、授業の予習の際に教科書に出てきた知らない単語をすべて辞書で引き、覚えようとする人も多いのではないでしょうか。

でも、ちょっと待ってください。教科書の英文に出てくる単語は、新出単語として抜き出してある単語を除けば、すべて〝今すぐ覚えないといけない重要な語”というわけではありませんし、知らない単語をすべて覚えようとすると英語が嫌になってしまうかもしれません。
大事なことは、辞書を引いたら「この単語は今すぐ覚えないといけない重要な単語かどうか」と常に意識する、すなわち、重要な単語と、そうでない単語を区別して、メリハリのある単語学習をするということです。

今回は、知らない単語を辞書で調べる時に、重要な語かどうかを見分ける方法をご紹介します。

辞書を引いたら最初に確認すべき「重要度表記」とは?

単語の重要度を考えるときに大きな助けになるのは、辞書の「重要度表記」です。重要度表記は単語の重要度を示すもので、辞書によりますが、*印の数などで単語の重要度を示しています。皆さんが単語を辞書で引いたときは、意味を見ることも大切ですが、星印の数も確認して、覚えるべき単語かどうかをまず確認すると、効率的に学習することができます。

重要度表記は、辞書によって違いますので、皆さんの使っている辞書ごとに確認してみましょう。

辞書ごとの重要度表記の違い

「ジーニアス英和辞典」の表記

ジーニアス英和辞典では、次のように4段階で分かれています。

***中学学習語(1150語)
**高校学習語(3150語)
*大学生社会人に必要な語(5300語)
無印

辞書アプリDONGRI 「ジーニアス英和辞典」表記画像

「ウィズダム英和辞典」の表記

ウィズダム英和辞典では、次のように5段階で分かれています。

***中学必修相当語彙(1300語)
**高校必修相当語彙(2600語)
*大学生社会人に必要な語彙(4100語)
+一般語彙(7800語)
無印

辞書アプリDONGRI 「ウィズダム英和辞典」表記画像

「ベーシックジーニアス英和辞典」の表記

ベーシックジーニアス英和辞典では、次のように5段階で分かれています。

****小・中学校で身につけたい語(1200語)
***高校1、2年生が必ず身につけたい語(1600語)
**高校卒業までに身につけたい語(1400語)
*大学1、2年生までに身につけたい語(2100語)
無印

辞書アプリDONGRI 「ベーシック・ジーニアス」表記画像

「エースクラウン英和辞典」の表記

エースクラウン英和辞典では、次のように5段階で分かれています。

A1 小学校~中学校の英語のベースを作る語彙(1074語)
A2 中2~高1(1246語)
B1 大学受験の標準レベル(2135語)
B2 難関大学受験~大学教養レベル(2314語)
無印

辞書アプリDONGRI 「エースクラウン英和辞典」画像・辞書活用のポイント

このように、辞書ごとに表記が異なりますが星印の数も確認して「覚えるべき単語かどうか」を確認することができます。

たとえば、ジーニアス英和辞典の場合、***の語は中学ですでに学習しているはずの語ですので、もし知らなければすぐに覚える必要があります。英検なら3級レベルの語です。
**は、***とあわせて、大学入試までに覚えておきたい単語です。高校1年生の皆さんは、今すぐどうしても覚えないといけない単語ではありませんが、英語が好きな人、得意な人では、これから出てくる単語ですから覚えておいてもいいでしょう。

一方、*や無印の語は、今の時点では辞書で意味が分かれば十分で、覚える必要はない語と考えてよいでしょう。

効率の良い英語学習のまとめ

ここまでお話ししたように、辞書の重要度表記は、たくさんの新出単語が出てくる高校の授業の予習をするときに辞書の重要度表記を参考にして、すぐに覚えるべき語か、今は忘れてしまってもかまわない語かを判断するために大変役立ちます。

もっとも、受験用単語集のレベル分けと違い、辞書の重要度表記は、大学入試や高校の定期テストでの重要度を必ずしも反映しているとは限りません。重要度ランクの低い語でも教科書によってはよく出てくる語もありますし、逆に、英語母語話者が頻繁に使わない語でも、日本人の高校生にとって身近な語であればランクが高くなっていることもあります。

辞書の重要度表記だけに頼るのではなく、英語の授業をよく聴き、先生が「この単語はぜひ覚えなさい」と強調した単語を優先して覚えたり、教科書の英文に何回も出てくる語は定期テストなどでも出題される可能性が高いので、辞書のランクが低くても確実に覚えるようにするなど、辞書の情報と、授業で先生が説明される内容の両方を利用し、効率のいい英語学習を心がけることが大切です。

この記事の執筆者

関山健治(せきやま けんじ)先生写真

中部大学 准教授

関山健治先生

沖縄大学専任講師、准教授を経て、2014年から中部大学准教授。専門は英語辞書学・応用言語学。

著書に『辞書からはじめる英語学習』(2007年、小学館)、『英語のしくみ』(2009年、白水社)、『日本語から考える!英語の表現』(共著、2011年、白水社)、『英語辞書マイスターへの道』(2017年、ひつじ書房)などがある。

執筆・校閲者として『ウィズダム英和辞典(第3版)』(三省堂)、『プログレッシブ英和中辞典(第5版)』(小学館)、編集委員として『ベーシックジーニアス英和辞典(第2版)』などを担当。

辞書アプリDONGRI
音読トレーナーQulmee

keyboard_arrow_left記事一覧へ戻る