【辞書コラム㉟】辞書の使い方

学年末特集!1年間の学習をふり返りながら「辞書の大掃除」をしてみよう

#中級

学年末特集!1年間の学習をふり返りながら「辞書の大掃除」をしてみよう

日本では年末に大掃除をする習慣がありますが、英語圏では寒い冬が終わり、日が長くなってくる春に大掃除をすることが多いようです。すでに進路が決まっている高校生の皆さんはもちろん、国公立大学の前期入試をめざす高校生の皆さんも今月末になれば受験勉強から解放されますので、時間に余裕ができる人も多いのではないでしょうか。

新年度を前に、皆さんが今まで使ってきたDONGRIも「大掃除」をしてみてはいかがでしょうか。今回は、卒業を控えた高校3年生の皆さんだけでなく、高校1、2年生の皆さんにもこれから末永く辞書を使っていくために役立つ「辞書の大掃除」のポイントをお話ししたいと思います。

タグを活用して「しおり」を大掃除しよう

皆さんの中には、DONGRIで検索した単語を「しおり」に登録し、定期テストや受験勉強で活用した人も多いと思います。授業中に教科書に出てきた単語を辞書で引いて、先生の説明を「メモ帳」に書きとめたり、なかなか覚えられない単語に同じタグをつけて集中的に学習したりしてDONGRIを自分専用の単語帳として活用した人もいるのではないでしょうか。ネット上の無料辞書と違い、DONGRIは皆さんがログインして使う専用の辞書ですから、このような機能を使いこなすことで自分だけの辞書に成長させていくことができます。

中には、使い続けるうちに何百という語を登録した人もいるかもしれません。容量を気にしないでどんどん登録できるのもDONGRIの大きなメリットですが、年度末に「大掃除」して、後で復習するときに使いやすいようにすることをおすすめします。せっかく登録した語を消去するのはもったいないので、「23年度」のように年度別のタグを作り、今登録している単語にすべてそのタグをつけてみてはいかがでしょうか?

画面左部の「しおり」をクリックすると、しおりに登録した語の一覧が表示されますので、タグをつけたい語をクリックして、画面右側の「しおり」のアイコンをクリックします。「新しいタグを作成」に新しいタグの名前(ここでは「23年度」)を入れて「新しいタグを作成」をクリックすると、「タグ一覧」に表示されます。

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一旦タグを作れば、今後はしおり一覧でしおり登録した単語をクリックし、「23年度」を選ぶだけで簡単に登録した語を分類することができます。最初は、何十、何百という単語にそれぞれタグをつける必要があるので面倒ですが、登録した単語に全部タグをつけてしまえば、今後は新たにしおりに登録する時につけたいタグを選ぶだけなので、「大掃除」の手間もかかりません。今年度の単語の「大掃除」が終わったら、今のうちに「24年度」のタグも作っておくと、新学期が始まってから引いた単語をすぐに登録することができます。

DONGRIでは、作ったタグごとに単語を絞り込むことができます。画面左の「しおり」ボタンをクリックした後、「タグ絞り込み」を選ぶと、特定のタグのついた語のみを表示することができます。来年度になってからしおり登録する場合は、「24年度」のタグをつけておき、「24年度」のタグのついた語のみを絞り込むと、今までに登録した単語と混ざらないので、見やすくなります。タグが1つもついていない単語だけを絞り込むことはできませんので、一時的に登録する場合はタグをつけないでおき、長期間残しておきたい語だけにタグをつけると「タグ絞り込み」を行ったときに見やすくなります。

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新学期になってからは、ふだんの学習では「24年度」のタグのついた語のみを絞り込んで表示させ、受験勉強などで過去に引いた単語を復習したいときは「23年度」のタグで絞り込むようにすると、たくさんの単語を登録している人も見やすくなります。完全に覚えてしまった単語は「覚えた!」のようなタグをつけておけば、他の単語と混ざらないので、いつでも学習する必要のある単語だけが表示されるようになります。

検索日時を確認しながら「閲覧履歴」を大掃除しよう

「しおり」の大掃除が終わったら、「閲覧履歴」も確認してみましょう。画面左の「閲覧履歴」ををクリックします。試験直前などに引いた単語がまだたくさん残っているかもしれませんが、「しおり」と違い「閲覧履歴」は、最終表示から約1年を超えると、古いものから自動的に削除されていきます。DONGRIの閲覧履歴では検索した日時や閲覧回数も表示されますので、かなり前に何回も見たのにまだ覚えていない単語や、より詳しく調べたい語が入っていないかどうかを確認し、残しておきたい語は「しおり」に登録しておくと消えることがありません。

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「メモ帳」の大掃除は手書きと併用がおすすめ

DONGRIには、しおり機能とは別にメモ帳機能があります。単語だけを記憶するしおり機能と違い、単語単位で1000文字までの文章を残せますので、辞書に出ていない用例や授業で説明された文法や語法の注意事項などを書き込んでおくことができます。

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しおり機能と違い、メモ帳は一語あたりにメモした分量が多いので、「大掃除」をしないとたまっていってしまい、後で復習することが大変になります。タブレットやスマホで苦労してメモ帳に文字入力した内容は、授業中に説明された試験範囲の内容や入試などでの頻出事項などの重要な内容が多いと思いますので、大掃除で消してしまうのはもったいない話です。時間のあるときに、紙のノートや単語カードなどに手書きで重要な内容をまとめ直してみてはいかがでしょうか?

スマホのメモアプリにコピー&ペーストすればいいのに、なぜわざわざ紙に手書きをするのかと思うかもしれませんが、推測変換で楽をして入力すれば手書きより素早くメモがとれる一方で、記憶に残りにくいとよく言われます。授業中に話を聴きながらメモするときはメモ帳機能を使い、まとまった時間のとれるときにメモを呼び出して授業内容を思い出しながら紙媒体に手書きでまとめ直すことで、より忘れにくくなります。

デジタルメディアは「大掃除」と「バックアップ」が基本!

私の授業の期末試験では、辞書(紙の辞書か、紙の辞書の内容を収録した電子辞書に限っています)の使用を認めています。この1、2年でDONGRIなどの辞書パッケージアプリを使う学生も増えてきました。そんな中、「紙の辞書に付箋を何十枚も貼っているが、試験の時には全部はがす必要があるのか」と相談に来た学生がいました。書き込みをするときは手書きのほうが頭に入るからだそうです。辞書なしでも高得点をとれるレベルの学生ですし、試験の公平性に影響しない内容なのでそのままにして受けていいと言いましたが、電子辞書と手書きを併用することで、TOEICでも700点を超えるレベルの力をつけることができました。

DONGRIをはじめとした電子辞書のしおり機能は手軽に登録ができるため、何十語、何百語と登録できてしまいますが、そのままでは記憶に残りません。定期的に登録した単語にアクセスし、ノートや単語カードなどの別メディアに手書きで転記したり、登録語数が増えすぎないように、先ほどお話ししたようにタグを使って整理することを習慣づけるといいでしょう。一方で、電子メディアの記憶容量の多さを活かし、昔覚えた単語を完全に消してしまわないで残しておき、時間のあるときに復習することでより力をつけることができます。

この記事の執筆者

関山健治(せきやま けんじ)先生写真

中部大学 准教授

関山健治先生

沖縄大学専任講師、准教授を経て、2014年から中部大学准教授。専門は英語辞書学・応用言語学。

著書に『辞書からはじめる英語学習』(2007年、小学館)、『英語のしくみ』(2009年、白水社)、『日本語から考える!英語の表現』(共著、2011年、白水社)、『英語辞書マイスターへの道』(2017年、ひつじ書房)などがある。

執筆・校閲者として『ウィズダム英和辞典(第3版)』(三省堂)、『プログレッシブ英和中辞典(第5版)』(小学館)、編集委員として『ベーシックジーニアス英和辞典(第2版)』などを担当。

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