語彙学習の本質 ~言語習得のプロセスとコーパスを用いた英語学習~

言語はどのように進化したのか、システムとしての言語に幼い子どもはどのように参入していくのだろうか。講師の今井むつみ先生は、ベストセラーとなった近著『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書2023)の中で、感覚的な経験を写し取る「オノマトペ」を手掛かりに、前述の問いを論証しています。そこでの議論は、「学習において、知識が腑に落ちること」の重要性を、改めて読者に問いかけるものです。 今回は、教育現場に携わる先生方を対象に、前半は言語習得のメカニズムについて、後半はコーパスを活用したライティング学習について、ご講演いただきます。認知科学の深みから、子ども・生徒の学習を見つめ直してみませんか。

こんな方におすすめ!①言語の習得に関心のある学校の先生方 ②英語科の授業を担当する学校の先生方

内容
1
「言葉の意味が分かる」とは?

『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書 2023年)の中で、今井先生はChatGPTのようなニューラルネット型AIと人間を比べ、それぞれの学習メカニズムを説明しています。大量のデータを読み込むことで記号の操作を可能にするAIに対し、人間、とりわけ子どもたちは言語という巨大なシステムを前に、何を端緒とし、どのように語彙を身に付けていくのでしょう。「オノマトペ」「記号接地」「推論」などのキーワードに触れながら、言語と身体の関わりを考えます。

内容
2
コーパスを活用したライティング学習

「ライティング指導にコーパスを活かす」(『英語教育』大修館書店 2018年4月号)の中で、今井先生は「学生に英語で何かを論評する文章を書かせると、ほぼ“I think”しかしか使わない」ことを例に、外国語学習者が類義の語を使い分けることの難しさを説明しています。日本語と英語の単語が一対一で対応しているという「思い込み」を乗り越え、英語を「使える」ようにするには、どのような学習が有効でしょうか。コーパスを用いた帰納的な語彙学習の理論と実践を考えます。

慶應義塾大学環境情報学部教授 今井むつみ 先生

1989年慶應義塾大学大学院博士課程修了。1994年ノースウェスタン大学心理学部Ph.D.取得。専門は認知心理学、発達心理学、言語心理学で、現在は慶應義塾大学環境情報学部教授として教壇に立つ。代表的な著書は、『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(2023年 中公新書)、『英語独習法』(2020年 岩波新書)、『学びとは何か―<探究人>になるために』(2016年 岩波新書)、『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』(2014年 ちくま学芸文庫 共著)、『ことばの発達の謎を解く』(2013年 ちくまプリマ―新書)、『ことばと思考』(2010年 岩波新書)など多数。小学校や高校の複数の国語教科書にも、言語に関わる文章が掲載されている。近年では、広島県教育委員会と「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」テストの共同開発を進めるなど、教育現場と専門知を架橋する活躍を重ねている。

『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書2023)  『英語独習法』(岩波新書)

開催概要

開催日

10月21日(土)10:00~12:00

申し込み締め切り 10月20日(金)17:00まで
アーカイブ配信 11月5日(日)までアーカイブ視聴が可能(要申込み)

※講演終了後、動画のリンクをお送りします。
開催形式 オンライン(Zoom)無料
参加対象者 教員・学校関係者
主催 イースト株式会社
協賛 株式会社大修館書店

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